昨年、大阪中之島美術館で「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」が開催されました。
イギリスの美術館からのコレクションということで、ミュージアムショップでもイギリス製のグッズなどが並んでいました。
普段は、図録や書籍を購入することが多いのですが、せっかくのイギリスの美術展だったので、イギリスの土産物で定番のティータオルを探すことにしました。
素敵な絵柄がたくさんある中で目を引いたのは、ウィリアム・モリスの「いちご泥棒」《ブルー》バージョンでした。
最近では、いろいろな雑貨のデザインにも使用され親しまれている「いちご泥棒」ですが、今回出会ったのは、定番のインディゴブルー(藍色)ではなく、ちょっとくすみ系の淡いブルーでした。ちょうど美術展を訪れたのは、会期終了間際の1月半ば。そんな冬から春へと向かう季節を思わせるような色合いが気に入りました。(もしかするとそのような季節だったので、意図的にこの色を並べていたのかも!?) ・・・いや、会期を考えると、単なる偶然。などと、なんだかんだ考えるのも楽しんだりします。
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これはのちに、私の作品制作に影響を与えるものになるのですが、別の回でお話することにして、今回は「ティータオルの魅力」について語りたいと思います。
ティータオルと言っても、私たちがイメージするふわふわしたタオルではなく、「布巾」とはまた違った用途を多く持っています。
今日は、イギリスのティータオルの多様な用途をご紹介します。
ティータオルとは
まずは、ティータオルの定義から紹介します。
ケンブリッジ辞書を引くと、ティータオルとは、
a cloth used for drying plates, knives and forks, etc., after you have washed them
引用元:Tea Towel, Cambridge Dictionary, 2024.2
「皿やナイフ、フォークなど、洗った食器を乾かす布」というのが定義ですが、実際、ティータオルはこれ以上の機能を持っています。
Contents
ティータオルの歴史
ティータオルの歴史は18世紀のヴィクトリア王朝まで遡ります。
社交の場で紅茶を提供するイギリスで始まり、そのおもてなしの際に使用される高級な陶磁器を手入れするために使われたのが始まりだと言われています。
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当初、ティータオルは主にリネン素材で作られており、その最大の利点は、食器を傷つけることなく磨き上げることができることでした。
また当時の婦人たちは、ティーサービスで扱う高級な食器は使用人ではなく、自ら手入れをするのが常識とされていました。
ティータオルの使用用途は高級食器を乾かすだけではく、食器に被せて保護したり、さらにはデザイン性を持たせ、もてなしの見栄えをよくするために使用されていたようです。
洗った食器を乾かす
今は綿100%が主流になってきていますが、リネンや綿素材は吸収性が高いというメリットがあります。
ティータオルを敷いて、洗った食器を載せて乾かしたり、また拭いて乾かす際には、布の繊維を残さず、食器にも傷をつけないのも人気の理由です。
洗った野菜やハーブなどを包む
綿やリネンは、通気性、速乾性があり、素材を清潔に保てます。
食器類だけでなく、洗ったハーブや野菜を包んだりするのにも使われています。
出典:KashtykiNata / Adobe Stock
パン作りの際でもティータオルは大活躍。パン生地を発酵させるために包んでおいたり、焼き上がったパンを乾燥から防ぐために包みます。
よくピクニックなどバスケットに布を敷いてパンを入れたりしますね。
出典:Mia / Adobe Stock
鍋やティーポットの保温
ティーポットを保温するティーコージー(Tea Cosy)の代替品としてもティータオルは重宝します。
ティーコージー(Tea Cosy)とは、ティーポットに被せるもので、紅茶が冷めないようにするものだよ。
ティータオルを使ったティーコージーの作り方
ティータオルがあれば、簡単に作れるティーコージー。
ポットを包むだけでもOKですが、紐がついていればちょっとしたアイディアで可愛くすることができます。
そもそもティーコージー自体も装飾要素が大きいです。
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ティータオルのサイズも豊富にあるので、ティーポットの大きさに合わせて使えます。布があれば簡単に作れるのでお気に入りの布で手作りしてもいいですね。
鍋敷きやまな板の下敷き
暑い鍋をテーブルに置くための鍋敷き、また野菜をカットするときにまな板が動かないように固定するために下敷きとしても。
贈り物を包む
日本でも、おしゃれなデザインの風呂敷で包むように贈り物をラッピングすることもできます。
伝統的なものからモダンなデザインが豊富にあるティータオル。アイディア次第で楽しめますね。
タペストリーやテーブルアイテムとして
デザイン性に優れているものは、タペストリーとして壁掛けにしたり、テーブルアイテムとしても重宝します。
私がミュージアムショップで購入したものは、サイズは大きめ(75cm x 47cm)なので、タペストリーやテーブルクロスに重ねてランナーのように使用したりと結構重宝しています。
ティータオルの魅力 – まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本の風呂敷やてぬぐいの用途にも共通するものもありましたが、今回のテーマのきっかけになったウィリアムモリスのデザイン哲学は、
ティータオルは多機能であり、種類も豊富です。ネットでも手軽に購入できるため、お部屋の雰囲気にアクセントを加えたい時におすすめのアイテムです。
壁紙やカーテンを変えるのは大掛かりですが、この小さなアイテム一つで、お部屋にちょっとしたイングリッシュガーデンの風を感じるアイテムになります。
気分に合わせて試してみてはいかがでしょうか?
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次回は、この出会いが作品制作に発展したストーリーをお伝えします。