日本の桜と言えば、「ソメイヨシノ(染井吉野)」と言われ、人々に最も馴染みのある桜の代表品種です。ソメイヨシノはクローン桜で知られており、日本の桜の名所はほとんどがソメイヨシノです。そのソメイヨシノが、10数年前から「てんぐ巣病」の影響で桜の木を剪定せざるをえない状況になっています。
てんぐ巣病とは
「てんぐ巣病」とは、タフリナ菌という(カビの一種)が原因の病気で、この病気にかかると、枝にコケが生えたようになり花が咲かなくなるそうです。
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てんぐ巣病の被害例「紫雲出山」
私が初めてこの病気を知ったのは、香川県の桜の名所「紫雲出山」で、山全体の桜が伝染病になったというニュースでした。過去に訪問した際には、その美しい景色にとても感動し、毎年この季節になると、開花状況をチェックしていたので、感染の被害を知ることとなりました。

香川県の桜の名所「紫雲出山(しうでやま)」 2018.4 訪問

香川県の桜の名所「紫雲出山(しうでやま)」 2018.4 訪問

香川県の桜の名所「紫雲出山(しうでやま)」 2018.4 訪問
2018年に訪問した際には、病気のことは知らなかったため、そこまで被害を感じることはありませんでした。
ただ、2022年には紫雲出山の中でも特に景観が美しい山頂部で、病気が広がらないよう剪定が行われたそうです。
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桜を救うプロジェクト
この問題に対処するため、「桜を救うプロジェクト」が立ち上げられ、募金活動を経て、今年2024年の2月にはソメイヨシノの代替品として「ヨウシュン(陽春)」が植えられたそうです。
ヨウシュンの特徴は、「病気になりにくく、かつ、ソメイヨシノに似た品種」ということです。
日本桜の会は、ソメイヨシノの代替品として「ジンダイアケボノ」を推奨していますが、植える環境に応じて、違う品種を選ぶこともあるようです。ジンダイアケボノの色味は比較的強いため、私は「ヨウシュン(陽春)」の方がソメイヨシノにより馴染むと感じました。
またソメイヨシノが見頃を迎える頃には、ジンダイアケボノは既に葉桜になっているので、名所ごとにそれぞれの風景に馴染むように最適な桜の品種が選ばれているのだろうと思いました。

ジンダイアケボノ(左)とソメイヨシノ(右)
私たちが毎年楽しむ美しい桜の景色は、地域ごとの献身的な取り組みで守られていることを知りました。
紫雲出山の桜が、かつての美しさを取り戻すことを願います。
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《参考》
紫雲出山の桜満開 香川、伝染病で剪定も, 産経新聞 2024.04.02

日本の春の象徴といえば、美しい桜の花々。特に「ソメイヨシノ(染井吉野)」は、国内の桜の名所で広く愛されてきました。しかし、近年この桜たちは、カビの一種が原因の「てんぐ巣病」という伝染病によって脅かされています。 このような背景から、ソメイヨシノの配布は停止され、その代替品として推奨されているの...
紫雲出山の基本情報
名所名 : 紫雲出山(しうでやま)
公式URL: https://www.mitoyo-kanko.com/mt-shiude/
住所 : 〒769-1105 香川県三豊市詫間町大浜乙451−1