越冬のために日本にやってくるツグミ
いつもの公園に散歩に出かけたらツグミに出会いました。
私がツグミに初めて出会ったのは2年前。
当時、野鳥のことはほとんど知りませんでしたが、早朝に散歩をするといろんな鳥たちのさえずりが聞こえてくるので自然と興味を持つようになりました。
ツグミは、夏はシベリアで繁殖し、秋から冬にかけて越冬のため日本に飛来することを知り
このシーズンになると今年は会えるかな?と今では秋冬の散歩の楽しみの1つになっています。
ツグミは個性的な模様と歩行動作がチャーミング
ツグミは、体長約24cmでスズメとハトの中間くらいのサイズです。
ツグミの体は茶褐色で、白い眉毛のようなライン、胸からお腹にかけては白く黒の鱗模様が個性的です。
『ピョンピョン』、『ピョンピョン』、とリズム良く跳ねてはピタッと胸を張って止まり、動きにとても特徴のある野鳥です。
愛鳥家たちには、ツグミのその独特な歩行動作が『だるまさんが転んだ』をしているような鳥と言われているのだそうです。
ツグミはウィリアム・モリスの作品で有名な『いちご泥棒』のモデル
ツグミと言えば私が真っ先に思いつくのは、19世紀のイギリスのデザイナー、ウィリアム・モリスの代表作『いちご泥棒(Strawberry Thief)』です。「アーツ・アンド・クラフツ・ムーブメント(民藝運動)」の提唱者で知られています。
アーツ・アンド・クラフツ・ムーブメント(民藝運動)とは、19世紀にイギリスで始まった産業革命による大量生産に反発した運動。自然素材にこだわった職人による手作業を推奨した運動だよ。
日本でツグミは、越冬の時期にしか見られませんが、イギリスでツグミは日本のスズメのように一年中見られる鳥で親しまれているのだそうです。
モリスは大事にしている家庭菜園に、ちょくちょくいちごを盗みにやって来る鳥を愛らしい『ツグミ』をモデルに描いたと言われています。
(実際は、ムクドリだったのをツグミに描き換えたと言う説もあるようです。)
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ツグミが『ピョンピョン』と歩いてはピタっと止まる様が、モリスにとっては、大事に育てているいちごをこっそりと盗んでは、『誰も追って来てないよね?』と後ろを警戒しながら逃げていくように見えたのではないかと思います。
そういった先入観を持って見ると、木に止まっている表情ですら、いたずらをしても知らんぷりしているように見えてしまいます。
デザイン性のあるツグミの個性的な模様と特徴的な歩行動作がモリスの思い描く『愛嬌のある泥棒』というイメージにマッチしたのではないかと勝手に想像しています。
ツグミの本当の顔
前節まで、ツグミは『泥棒』『いたずらっ子』のように描いてしまいましたが、実際のところはとても遠慮がちな性格のようです。
他の鳥たちと餌を争うこともせず、どちらかというと他の鳥が残したおこぼれの餌を突いているような控えめな鳥のようです。
ツグミの名誉のためにもこの点はぜひご紹介しておきたいと思いました。
ツグミは暖かくなるとまた旅立ちます
冬越しを終えると、ツグミは5月中旬頃までには日本から旅立っていきます。
旅立つ前にあと何度会えるかな。
ツグミの動画
ツグミの動画をご覧になりたい方は《 こちら 》。
可愛いツグミのところに、ハクセキレイが「一緒に遊ぼう♪」と、てくてくやってくる様子がご覧いただけます
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参考:「庭で楽しむ野鳥の本」大橋弘一 山と渓谷社 2007.12.10